BLOG

AIにおける最先端の情報をお届けします。

  1. HOME
  2. ブログ
  3. お役立ち情報
  4. ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違いと実務的なインパクト

ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違いと実務的なインパクト

こんにちは。Altam Easeの玉井将です。
今回はマーケティングの知識を解説します。

CookieはWebの裏側で利用されている仕組みで、ユーザー体験やデータ活用に欠かせません。特に、ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違いは、Webサイトの設計や広告運用に直結します。本記事では、その違いと影響、そして今後の対策までを網羅的に解説します。

Cookieとは何か?

Cookieとは、Webサイトがユーザーのブラウザに一時的な情報を保存する仕組みです。これにより、ログイン状態の保持や行動履歴の記録、フォーム入力の自動補完などが可能になります。

Cookieには、どのドメインがその情報を発行したかによって、大きく2つに分類されます。それが「ファーストパーティCookie」と「サードパーティCookie」です。

ファーストパーティCookieとは?

発行元と特徴

ファーストパーティCookieは、ユーザーが実際にアクセスしているWebサイト(例:example.com)自身が発行するCookieです。

ユーザーと直接やり取りしているドメインが発行元になるため、ユーザーの操作に基づいて自然に使われる場面が多く、プライバシーリスクは比較的低いとされます。

利用されるシーン

ファーストパーティCookieは、次のような機能の実現に使われます。

ユーザーがログインした後にその状態を維持したり、ショッピングカートの中身を記録したり、過去に入力した情報をフォームに自動表示するなど、サイト内での利便性向上が主な目的です。

たとえば、ECサイトで途中まで商品をカートに入れた状態でブラウザを閉じても、再訪時に同じ状態から買い物を再開できるのは、このCookieによる情報保持のおかげです。

セキュリティと規制面

ファーストパーティCookieは、現在のところ主要ブラウザで特に大きな制限を受けていません。ただし、セキュリティ確保のためには、SameSite属性やSecureフラグなどを正しく設定する必要があります。

サードパーティCookieとは?

外部ドメインからの発行

サードパーティCookieは、ユーザーが見ているページとは別の外部ドメインが発行するCookieです。

たとえば、ニュースサイト内に表示されるGoogleやFacebookの広告が読み込まれると、そのドメイン(google.comfacebook.comなど)からサードパーティCookieが発行されます。

目的は「広告の最適化」

この仕組みの主な目的は、ユーザーの行動履歴を複数のサイトを横断して追跡し、パーソナライズ広告を表示することです。ユーザーが以前見た商品を別サイトで再表示する「リターゲティング広告」はその代表例です。

また、広告のクリック数やコンバージョン(成果)を測定するためにも、サードパーティCookieが使われます。

プライバシー問題と規制

このCookieはユーザーの知らないところで情報を集めるため、プライバシー上のリスクが高いとされてきました。そのため、近年では各国の法規制やユーザー保護の動きが強まっています。

SafariやFirefoxはすでにサードパーティCookieを完全にブロックしており、Google Chromeも2025年後半を目標に段階的な廃止を進めています。

サードパーティCookie廃止の影響

広告運用へのダメージ

これまでサードパーティCookieに依存していた多くの広告施策が機能しなくなる可能性があります。ユーザーの行動を正確に把握できなくなるため、リターゲティングの精度が下がったり、コンバージョン計測が困難になったりする恐れがあります。

Web解析やマーケティング施策への影響

広告だけでなく、ユーザー行動を横断的に分析するマーケティング活動も影響を受けます。今後はより限定的なデータの中でユーザー理解を深める工夫が必要になります。

今後の対応策と代替技術

ファーストパーティデータへのシフト

企業は今後、ファーストパーティCookieやユーザーから直接取得するデータ(メールアドレスや購買履歴など)を活用する方向にシフトしていく必要があります。これは「同意済みで信頼できるデータ」として価値が高まっています。

新しい技術の導入

Googleが提案している「Topics API」や「Protected Audience API(旧称FLEDGE)」など、Cookieに代わる仕組みの導入が進められています。これらはユーザーのプライバシーを守りながらも、広告の最適化を可能にすることを目指しています。

開発者・運営者が取るべき実務対策

今後、Cookieを使うWebシステムを設計・運用する上では、以下の点を実装レベルで考慮する必要があります。

  1. Cookieの「SameSite」属性を明示し、セッションの安全性を高める

  2. SecureおよびHttpOnly属性の活用によって、盗聴や改ざんのリスクを下げる

  3. クッキー利用に関して、ユーザーからの明示的な同意を取得し、その選択を尊重する(クッキーバナー、CMPの導入)

これらは単なる「技術実装」ではなく、法令遵守とユーザーの信頼獲得に直結します。

まとめ:Cookieの違いを正しく理解し、未来に備える

ファーストパーティCookieは、ユーザーの利便性を高める重要な手段として今後も活用され続けます。一方で、サードパーティCookieは規制の強化とともに急速に終焉へと向かっています。

そのため、今後のWeb開発やマーケティング施策では、外部依存ではなく、自社内で取得できるファーストパーティデータをどれだけ整備・活用できるかが鍵になります。

今のうちから設計思想を見直し、プライバシーを尊重した透明性の高いデータ活用体制へと移行することが、今後の事業継続と成長のために不可欠です。

Honda Naoki Author Photo

玉井将(Altam Ease/PG✖️営業)
AI技術スペシャリスト / 研究者 / 塾講師 / エンジニア
兵庫県立大学生命科学学部卒業。
AI技術に関する豊富な知識と実務経験を持ち、最新の技術動向を追い続ける。企業向けのAIソリューションを提供しており、RAG技術や生成AIなど様々なシステムの導入支援に携わる。

実績:

  • チャットbot開発経験
  • APPSHEETによる在庫管理・給与管理システム構築
  • UX/UI設計
  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事